私が会社員時代に仕事をする上で決めていたことがあります。
それは「仕事を属人化させないこと」です。
「やっぱり〇〇さんしかこの仕事はできないよね!」
この言葉は、言われた側にとっては自分の能力やスキルが認められているように感じ決して悪い気はしません。
言う側にとっても「〇〇さんに引き続きこの仕事をお願いしたい」という期待を相手に伝えることができるし、
言われる側も言う側も一見何の問題のないやりとりになります。
でも本当に問題は無いのでしょうか?
私は「仕事が属人化してしまうこと=リスク」だと考えています。
「組織(仕事)とは機能し続けることが絶対条件」だと考えているからです。
世の中の仕事の大半は、「その人しかできない仕事」は決して多くないと考えています。
もちろん、表現者(役者、歌手、デザイナー、講師等)のように「その人」自身がブランドとなっている場合や、有資格者でしかできない仕事(医師、弁護士等)の場合、機密性の高い業務のため意図的に責任者が特定されている場合は除きます。
これら特別な仕事を除いた場面で、仕事が属人化してしまうとどうなるか想像してみます。
例)Xさん(28歳 メーカー勤務 入社6年目 業務A担当)
業務Aは、入社時に退職する予定の先輩から引き継いだ。現在にいたるまでXさんが担当。
同僚のYさんZさんは、業務Aの担当は6年も経験しているXさんが適任であると考えている。上司Wさんも同じ考えでいる。
Xさんの役割が固定化されていることで、YさんもZさんも業務Aを覚えようとしない。
(現状困ることがないので、忙しい中わざわざ時間を割いて教わる必要性を感じない)
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Xさんも頼ってもらえることがやりがいになり、わざわざYさんZさんに教えることはない。
(現状困ることがないので、忙しい中わざわざ時間を割いて教える必要性を感じない)
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上司Wさんも、今の役割分担で円滑に業務が遂行できているため特に問題としていない。
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ところが、Xさんに突然ハプニングが起こる!! しばらく出社できそうにない状況に・・・。
自由に連絡が取れない状況にもなってしまった。
でも、業務Aを月末までに完了させなければならない!
↓
上司Wさん、Yさん、Zさん大混乱。通常業務と手探りで進める業務Aに膨大な時間がかかり連日深夜まで残業することに。
残業規制もあるし、本当にこの仕事、期日までに終われるのだろうか・・・。
業務Aが社内で完結できる仕事であれば、関係部署で融通をきかせて何とかやり過ごせるかもしれませんが、これが顧客に対しての仕事であったら、信用問題に発展することになります。
このような時、例えば業務AをXさんと同等レベルではなく50、60%のレベルで全員もしくは上司Wさん、Yさん、Zさんの誰か1人でも日頃から共有していたら大混乱に陥ることは避けられるのではないでしょうか。
この状況、実は身近な家庭生活に置き換えても同じです。
家事、育児、介護など家族の誰か1人に固定化されている場合、有事の際通常の家庭生活が機能しなくなります。
これは家族全員にとって困ることになります。
「親に任せきりだったから知らない」
「妻(夫)じゃないと分からない」
もし特定の誰か1人にだけ仕事や役割が固定化されているのであれば、ぜひ見直してみてください。
リスク回避を日常的に習慣にしておくことが大切なのであって、特定の人しかできない仕事だと思った時点、思わせてしまった時点でお互い疑問に思うことが重要なのです。
自分の仕事や役割の進捗状況をメモに残しておく、チームで共有する、定期的にジョブローテーションをする、マニュアルを作成しておくなど、一時的に労力と時間はかかりますが、組織や家庭においても「機能し続けること」は自分たちにとっても他者にとっても有益なことであると理解しておく必要があると考えています。
その仕事、属人的になってない?
少し立ち止まって自問自答してみましょう。
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